いびきラボで無呼吸の兆候がわかる?グラフから読み解くSASリスク

いびきを記録するアプリ「いびきラボ」とは?

近年、スマートフォンを使って自分の睡眠の質をチェックできる便利なアプリが多数登場していますが、その中でも特に注目を集めているのが「いびきラボ(SnoreLab)」です。
このアプリは、就寝中のいびきを録音・記録し、音量や発生時間をグラフで“見える化”してくれる優れものです。

特に話題となっているのが、「無呼吸の兆候がグラフで確認できる」点です。
睡眠中に自覚できない無呼吸の兆候を、いびきの変化から読み取ることができるため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性に気づくきっかけになるとして、多くのユーザーから支持を集めています。

アプリを使うことで、「自分はいびきをかいているのか?」「もしかして無呼吸の症状があるのでは?」という漠然とした不安を、具体的なデータとして可視化できる点が最大の魅力です。

このように、いびきラボは“自分の睡眠の状態”を確認する第一歩として非常に役立つツールなのです。
次のセクションでは、このアプリで実際に「どこまで無呼吸がわかるのか」について詳しく解説していきます。

いびきラボで無呼吸はわかる?測定できる内容とは

「いびきラボ(SnoreLab)」は、あくまでいびきを分析するアプリであり、医療機器ではありません。したがって、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の診断を直接行うことはできません。しかし、無呼吸の可能性を示す“兆候”を捉える点では非常に有効です。

測定できる主な内容

いびきラボで記録されるデータは以下のとおりです:

  • いびきの音量(dB)

  • いびきをかいていた時間(%)

  • いびきの強さ(軽度・中度・重度)

  • 時間帯ごとの音の波形とグラフ

  • いびき音の録音と再生機能

これらの情報を元に、**いびきの発生パターンや静寂時間(無音状態)**などを確認できます。

無呼吸そのものは検出できるのか?

結論から言うと、無呼吸そのもの(呼吸停止の秒数など)を測定することはできません。
しかし、無呼吸の可能性が高いパターンとして、いびきが突然途切れて“無音”になる状態が数秒〜十数秒続く場合があります。

これは「無呼吸により空気が通らず、いびき音も止まっている」状態である可能性があるのです。
つまり、“無音の時間帯”が、無呼吸のサインかもしれないと見なすことができるのです。

どこまで信用できる?

医療機関で行うポリソムノグラフィー(PSG)に比べれば、当然ながら精度は大きく劣ります。
ただし、日常的に“いびき+無音”が繰り返されるようなグラフパターンが見られる場合には、SASの可能性があるため、医療機関での受診のきっかけとしては非常に有効です。

グラフの見方と活用ポイント

いびきラボを使って記録されたデータは、視覚的に分かりやすい「グラフ」として表示されます。このグラフを正しく読み解くことで、自分のいびきの傾向や、無呼吸の疑いがあるタイミングを把握しやすくなります。

いびき強度グラフの基本構成

いびきラボのグラフには、以下のような情報が含まれています。

  • 横軸:睡眠中の時間(例:22:00〜7:00)

  • 縦軸:いびきの音量(dB)

  • 色分け:いびきの強さ(青=軽度、オレンジ=中度、赤=重度)

このように、時間ごとのいびきの強さや頻度がひと目で分かるようになっており、**「いつ、どの程度いびきをかいていたか」**を可視化できます。

無音(静寂)=無呼吸のサイン?

無呼吸を示す直接的な数値は表示されませんが、重要な手がかりとなるのが**“無音の時間帯”**です。

以下のようなグラフパターンには要注意です:

  • いびきが激しく続いた後、突然音が途切れて無音になる

  • 数十秒ほど静寂が続いたあと、急に大きないびき音が再発する

  • このサイクルが何度も繰り返される

こうした変化は、無呼吸(気道の閉塞)→覚醒→再び呼吸といびき開始という、SASによく見られるパターンである可能性が高いです。

録音データの再生と確認方法

いびきラボには、録音したいびき音を時間ごとに再生できる機能があります。
この機能を使うと、以下のような確認が可能です:

  • 無音になっている時間に実際に音がないか再確認

  • 再開した瞬間の「ガッ」という呼吸音やあえぎ音があるかどうか

  • いびき音が途切れるリズムが毎晩似ているか

視覚情報(グラフ)と聴覚情報(録音)の両方を使うことで、より正確に無呼吸の兆候を探ることができます。

実際のグラフから読み取れる危険サインとは?

いびきラボを使って記録されたグラフには、いびきの強さや頻度の他にも、「異常な睡眠パターン」が表れることがあります。特に、無呼吸の兆候が疑われる“危険なグラフ”の特徴について知っておくことは、健康管理において非常に重要です。

要注意パターン①:長時間の無音状態

いびきがしばらく続いたあとに突然完全な無音状態が続く場合、それは呼吸が止まっている=無呼吸状態の可能性があります。特に以下のようなパターンは危険です:

  • 無音が10秒以上続く

  • 毎晩、複数回同じような無音区間がある

  • 無音後に「ガッ」という苦しそうな音や、急ないびき再開がある

これは、典型的な**閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)**のパターンと一致しています。

要注意パターン②:いびきの音量変化が極端

いびきの音量が、極端に大きくなったり小さくなったりを繰り返すグラフも注意が必要です。これは、気道が断続的に狭くなったり広がったりしている状態で、**部分的な気道閉塞(低呼吸)**の可能性があります。

  • 断続的にグラフが上下に波打っている

  • 一部だけ赤く(重度)表示されている

  • その前後に無音の谷間がある

こうしたグラフパターンは、無呼吸と低呼吸が繰り返される中等度〜重度のSASの兆候とされることがあります。

要注意パターン③:いびき開始までの無音が長い

いびきのない状態から、急に大きないびきが始まるパターンも見逃せません。これは、無呼吸による軽い覚醒が発生し、再び眠った直後に気道が閉塞していびきが始まるケースです。

この場合、本人は気づかないまま何度も覚醒と無呼吸を繰り返しており、結果的に「熟睡できない」「日中に強い眠気が出る」などの症状につながります。

医療機関への相談はいつ?判断の目安と伝え方

いびきラボのグラフや録音データを確認して、「もしかして無呼吸かも?」と感じた場合、次に気になるのが「どのタイミングで病院に相談すべきか」ではないでしょうか。ここでは、受診の判断基準や、医師への伝え方のポイントをご紹介します。

こんなときは専門医へ相談を

以下のような傾向がグラフに見られる場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いが高いため、早めの受診がすすめられます:

  • 毎晩のようにいびきと無音のサイクルが繰り返されている

  • 朝起きても疲れが取れていない、頭が重いと感じる

  • 日中に強い眠気があり、仕事や運転に支障を感じる

  • 家族やパートナーに呼吸が止まっていると指摘された

  • グラフの赤い(重度)ゾーンが長く続いている

病院での診断に役立つ「いびきラボ」のデータ

いびきラボのグラフや録音データは、医師への説明資料として非常に有効です。

  • アプリの記録画面をスクリーンショットして持参する

  • 特に無音が続いた部分の録音データをピンポイントで示す

  • いつからその傾向があるのか、メモで補足するのも◎

実際、多くの耳鼻咽喉科や睡眠外来では、「いびきラボで気づいて来院された方」が増えており、初診時にアプリの記録を見せることが受診のきっかけとして自然であるとされています。

専門検査「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」とは?

病院では、疑いがある場合に「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」という本格的な睡眠検査が行われます。これは一晩入院して、呼吸、脳波、筋肉の動き、酸素濃度などを計測する検査で、正式にSASの診断を受けるには必須のものです。

最近では自宅で行える簡易検査もありますが、正確な重症度の判断にはPSGが推奨されます。

まとめ:グラフは“気づき”の第一歩。放置せず早めの対応を

「いびきラボ」は、専門的な医療機器ではありませんが、自分のいびきや睡眠中の音を手軽に可視化できる優れたアプリです。とくに、「無音状態」と「いびきの強弱の変化」が交互に現れるグラフは、睡眠時無呼吸症候群の初期兆候を捉えるヒントになります。

いびきや無呼吸は、ただの「うるさい音」で済ませられるものではありません。放置すれば高血圧、糖尿病、心不全、脳卒中といった命に関わる病気を引き起こす可能性もあります。

いびきラボのグラフや録音を通じて気づいた異常を、そのままにしておくのではなく、早めに医療機関で専門検査を受けることが大切です。

「自分のいびきってどうなんだろう?」「寝ている間に無呼吸があるのか不安」と感じたら、まずは1週間だけでもアプリで記録してみるとよいでしょう。気づきこそが、健康を守る第一歩になります。


参考・引用記事

・ナゾロジー|睡眠時無呼吸症候群の無呼吸発作が「いびきアプリ」でも確認できるという話
 https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/180179

・SnoreLab 公式サイト
 https://www.snorelab.com/

・いびき情報サイト「いびきドットコム」
 https://ibiki.com/